悩みを越えて

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「あなた、ここはよーく考えてくださいよ。自分の女房の体に他人の精子が入るんです。考え方によっては、不貞だともいえる。それでもいいのですか。
男として、十分に悩んだすえ決めたんですか」
人工授精を依頼にきた夫婦を前にして、私は夫のほうに必ずこう言うことにしている。ときには「義子をもらったほうが、いいんじゃないの?」と水を向けることもある。
奥さんに対しては、必ず将来の不安を問いかける。
「人工授精の子どもだったら、あとで離婚されるかもしれませんよ。”この子、オレの子やない”なんていわれる心配はないんですか。ご主人をそんなに信頼して大丈夫なんですか?」
家庭で十分に話し合い、お互いに百%納得してからやってきた場合はいい、そうじゃないとき、とくに夫の側がイヤイヤ来たというケースのときには、目の前で夫婦ゲンカが始まったりする。
「みてみィ。先生も賛成できん言うてはるぞ」と夫。
「なに言うてるの。家では承知したくせに・・・」と妻。
コミュニケーションは大切です。
そこで私は、きびしく言い渡す。
「こういうことは、強制したら絶対にダメ。もっと二人で悩んで、悩んで、悩みぬくこと。どんな手段でもいい、純粋に子どもがほしい。
愛する妻の血が半分でもまじっていたらいい、という心境に達したら、出直してきなさい。この夫婦なら大丈夫、子どもができたら必ず幸せになれる、と納得しない限り、
私は絶対に引き受けませんよ」

参考: